平成29年度 卒業式 校長式辞
3月7日(水)、さいたま市文化センターにて卒業生931名の卒業式が挙行されました。保護者並びに来賓の方々により盛大な祝福を受けました。
春の息吹が新たな季節の到来を告げる今日の良き日、平成29年度卒業式を挙行できますことは、私達教職員一同にとりまして、この上ない慶びであり誠に嬉しく存じます。
ご来賓の皆様に申し上げます。
本日は、お忙しい中ご臨席を賜り、厚く御礼申し上げます。
ご来賓の皆様におかれましては、平素より本校生徒の諸活動を見守っていただき、誠にありがとうございます。
本日ここに、皆様方の温かい視線の中で成長させていただいた第三十八期生が卒業式を迎えることとなりました。謹んでご報告申し上げます。
保護者の皆様に申し上げます。
保護者の皆様におかれましては、お子様の在学中、本校の教育活動に多大なるご理解とご協力を賜り、誠にありがとうございました。厚く御礼申し上げます。
3年前に本校にお預かりいたしました皆様方のお子様達は、本校の教育課程を立派に修了され、本日ここに卒業式を迎えることとなりました。
お子様のご卒業、誠におめでとうございます。心よりお祝い申し上げます。
第三十八期生の皆さん、卒業おめでとうございます。
浦和学院高等学校を代表して、皆さんの新たな船出を心よりお祝い申し上げます。
卒業に当たり、この3年間で皆さんが身につけた本校の建学の精神と校訓について、あらためてお話しさせていただき、皆さんへの餞の言葉とさせていただきます。
建学の精神である「吾道一以貫之」の意味するところは、『人間の正しい在り方とは、人生のいかなる場面においても「忠恕」の精神を貫くことだ』ということであります。
「忠」とは「自己の社会的な責任を誠実に果たすこと」であり、「恕」とは「他者の多様な情状を思いやり寛容に受け入れること」であり、言わば「自分に厳しく、他人に優しく」ということであります。さらに言えば、「忠」とは、自立した人間として共に生きる仲間達に迷惑をかけないよう自己を律することであり、共に生きる仲間達に各々の立場に応じた何等かの社会貢献をすることであります。一方、「恕」とは、人間の不完全さを受け入れ、充分に社会的責任を果たせなかった他者を排除せず、何等かの事情があったのではないかと思いやり、共に生きる仲間として一緒に改善の方途を探す精神であります。
続いて、校訓である「克己」「仁愛」「共生」の意味するところを、もう一度確認しましょう。
「克己」とは、多くの仲間達と共に生きていくために、自己本位な欲望を制御することです。社会生活は、共に生きる人達と時間や場所を共有し役割を分担することで成立します。そうした社会生活を成立させるためには「今はどのような時か、此処はどのような場所か、自分はどのような立場か」を判断し、それぞれの時・所・位に相応しい行動をとらねばなりません。
「仁愛」とは、自分が多くの仲間に支えられて成立していることを自覚し、自分も仲間を応援し支える者となろうとする気持ちです。人間は一人では生きていけません。どんなに強い力を持つ人間も、一人で強くなったわけではありません。その強さを得るに至るまでには両親を始めとする多くの人達の支えがあったはずです。ならば、自分もいずれは、共に生きる人達を支える存在と成らなくてはなりません。
「共生」とは、共に生きる仲間を得ることです。共に生きる仲間を得ることは、それ自体が最高の幸福であるとともに、すべての幸福を実現するための基盤であります。どんなことを達成し、どんなものを所有したとしても、それを是と認め、共に喜ぶ仲間がいなければ真の幸福とは言えません。共に生きてくれる人がいること、自分の存在を必要としてくれる仲間がいること、これこそが最高の幸福です。共生する仲間を得るには、「今はどのような時か、此処はどのような場所か、自分はどのような立場か」を、感じ、考え、それにふさわしい行動をする「克己」の精神が必要です。そして、自分勝手な考えをしないで「克己」を行うには、自分が多くの人達に支えられて成り立っていることを知り、自分もできる限りの社会貢献を成そうとする「仁愛」の精神が必要です。自分に厳しく他人に優しく、「忠恕」の精神を貫き、それぞれの進路において立派に「共生」を果たして、真の幸福をつかんでください。
第三十八期生の皆さん、皆さんは卒業した後も「浦学ふぁみり~」の一員です。「浦学ふぁみり~」の合言葉は「頑張る仲間をみんなで応援」であります。教職員一同、皆さんの今後の活動を、ずっと応援しています。それぞれの道で「忠恕」の精神を貫き、頑張ってください。
平成三十年三月七日
浦和学院高等学校
校長 石原 正規