新成人へのメッセージ
高校3年生となり18歳の成人年齢を迎えた皆さんへの、成人の日に際しての浦和学院高校からのメッセージです。
私達は皆、自分だけの個性を持った個人です。一人ひとり異なる感じ方、一人ひとり異なる考え方、一人ひとり異なる生き方があります。そして、異なる特性を持つ生物達が、それぞれの役割を果たすことで自然の調和が保たれるように、一人ひとり異なる特性を持つ私達全員が、それぞれの個性を活かすことで社会は成立しています。厳しい自然の中で生きる動物たちは「ただ生きる」だけで精一杯です。しかし人間は、多くの仲間達と時間や空間を共有し、それぞれの個性に応じた役割を分担して社会を形成することで生活基盤を確立し「よく生きる」ことを目指せる存在となりました。
だから、完成した人間、即ち「成人」になると言うことは、自分の個性を活かして社会に貢献し、共に生きる仲間達に必要とされる一人前の社会人になり、共生する仲間たちと共に幸福な人生を実現することです。
自分の希望することを実現した時の達成感も幸福ではありますが、誰かの必要に応えることができた時の充足感は、より大きな幸福です。自分の欲望を満たしたときの満足感も幸福ではありますが、誰かの役に立った時の充実感は、より大きな幸福です。
浦和学院高校での全ての学習活動は、自己実現のためはなく、社会貢献のためのものです。自分のための努力は、自分が諦めれば止めることができます。しかし、共に生きる仲間のための努力は、自分の都合では止められません。だから皆さんは、多くの困難を乗り越えて、懸命に学習して確かな知識と技術を修め、 一心にスポーツに励むことで体力と精神力を高め、様々な学校行事を通じて思考力・判断力・表現力を磨くことができたのです。
本校での3年間の学習活動は、共生する人々を競争相手とし、自分の欲望をより多く実現するためではなく、 共生する人々を仲間とし、社会の一員としての自分の役割を果たすためのものです。皆さんは、「吾道一貫」の精神のもと、誰かより多くのものを獲得するために学習したのではなく、少しでも誰かの役に立つために学習したのです。
新成人として間も無く本校を卒業する皆さんが、一人前の社会人即ち「成人」として、各々の立場から「社会」即ち共生する仲間達に貢献することで、共生する仲間達から「必要な人間」であると認められ、より大きな幸福を得ることを切望します。
2023年1月9日(成人の日)
学校法人明星学園
浦和学院高等学校
校長 石原 正規