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選手の安全を守る:野球部マウスガードプロジェクト

 

本校野球部は、甲子園出場が春11回・夏15回と県内最多の実績を誇る全国屈指の名門校です。今年度の春季高校野球埼玉大会では優勝を果たし、春季関東地区高校野球大会への出場が決定するなど、常に高い成果を追い続けています。

しかし、こうした輝かしい実績の裏では、生徒が安心して挑戦できる環境づくりにも注力しており、現在は「マウスガード」の普及・拡大に取り組んでいます。


マウスガード作成の目的


「マウスガード」とは、歯に装着することで歯や口周りの軟組織を保護する、柔らかい素材の口腔保護具です。ボクシングやラグビーでの使用例が知られていますが、野球においてもスポーツ中は想像以上の衝撃が顎や顔に及ぶ可能性があります。マウスガード着用により、口の中のけがの予防、歯のすり減り防止、顎関節の保護などの効果が期待できます。


選手の安全を第一に考え、本校では提携歯科のフォレストデンタルクリニック(本校健康診断も担当)と連携し、診察から型取り、マウスガード作成までを一貫して行っています。昨年度は部員25名分を作成し、歯科医師が各部員の歯列や顎の状態を確認した上で、一人ひとりに合わせたオーダーメイドのマウスガードを提供しました。
また、マウスガード着用に対する意識を高めるため、同年より新たに安全講習会を実施しています。歯科医師による効果や着用方法の説明を受け、使用する選手自身がマウスガードへの理解を深め、正しく継続使用できるよう取り組んでいます。


浦学野球部とマウスガードの関わり


このマウスガード導入への取り組みは、2017年から始まっています。当初は、日本学校歯科医会及び日本高等学校野球連盟が実施するマウスガード普及・周知活動事業のモデル校の一つとして参加していました。
その後、公的事業が終了した2023年以降も「選手の安全・けが防止を継続して実現したい」という強い想いから、本校野球部は独自にマウスガードの取り組みを継続してきました。
現在は約20名の部員がマウスガードを使用しており、主に守備練習時に着用しています。

これは、突発的にボールが跳ね返って顔に当たるリスクや選手同士の接触が、攻撃時より守備時の方が多いためです。選手からは「マウスガードを着用していることで、練習中の安心感が高まった」「バッティング時に噛みしめやすく、スイングに力を込めやすい」といった前向きな声が寄せられています。


今後の展望


マウスガード事業を通じて、スポーツを続ける上で「安全であること」の重要性を改めて実感しています。

本校は今後も選手が長く安心してプレーを続けられるよう、けが防止の意義を継続的に伝えていきます。さらに、マウスガード着用時の咬筋力(噛む力)測定も行っており、パフォーマンス向上への効果についても検証を進めてまいります。

他にも、アメリカンフットボール、ラグビー、バスケットボール、バレーボール、サッカーなど接触リスクの高い他部活動へのマウスガード導入も検討し、専門家を交えた講習会を開催することで、学校全体で安全への意識を高めていきたいと考えています。
また、提携先のフォレストデンタルクリニックは「夢ある若者を応援したい」という思いから、通常30,000円ほどかかるマウスガードを慈善事業として格安で提供してくださっており、制作を担う歯科技工所も浦学野球部のファンとして支援してくれています。
こうした多方面からのご支援をいただきながら、今後も引き続き生徒が安心して挑戦できる環境づくりを推進していきます。